保険
歯列矯正が保険適用になるケース|厚生労働大臣が定める疾患など
※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日
※この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断の代わりにはなりません。
結論
- 歯列矯正は原則として保険が使えない自由診療です。保険が使えるのは、国が決めた病気が原因のかみ合わせの異常や、顎(あご)の骨を切る手術が必要な顎変形症など、限られた場合だけです。
- 保険で治療できるのは、国の基準を満たして地方厚生局に届け出た歯科医院に限られます。
- 日本矯正歯科学会の指針では、マウスピース型の矯正装置(アライナー)は保険診療には使用できないとされています。マウスピース矯正の多くが自由診療なのはこのためです。

保険が使える4つのケース
歯科の保険のルール(診療報酬)では、歯科矯正が保険の対象になる場合が決められています。日本矯正歯科学会と厚生労働省の資料をもとに整理すると、次のとおりです。
| ケース | 内容 | 行える歯科医院の届出 |
|---|---|---|
| 1. 厚生労働大臣が定める疾患 | 唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)、ダウン症候群、6歯以上の先天性部分無歯症など、決められた病気が原因のかみ合わせの異常 | 歯科矯正診断料(名簿の略称「矯診」) |
| 2. 永久歯の萌出不全 | 前歯と小臼歯の永久歯のうち3歯以上が生えてこない(萌出不全)ことが原因のかみ合わせの異常。歯ぐきを開いて歯を出す手術(埋伏歯開窓術)が必要なものに限る | 歯科矯正診断料(矯診) |
| 3. 顎変形症 | 顎の骨を切る手術(顎離断など)が必要な顎変形症の、手術の前後の矯正 | 顎口腔機能診断料(名簿の略称「顎診」) |
| 4. 先天性欠如歯(2026年度の改定で追加) | 18歳未満で、連続した3歯以上の先天性欠如歯(生まれつき歯がない状態)が原因のかみ合わせの異常。令和8年度の診療報酬改定(2026年6月1日施行)で加わりました | 歯科矯正診断料(矯診) |
1の病気の一覧は、令和8年度改定後の通知で(1)から(68)までの68項目が挙げられており、最後の項目は「その他顎・口腔の先天異常」です。日本矯正歯科学会のページでも一覧を確認できます。
4のケースは新しく加わったばかりのため、対象になるかどうかは、届出をしている歯科医院で確認してください。
見た目を整えたい、歯が少し重なっている、すき間がある、といった理由の矯正は、上の条件に当てはまらなければ保険の対象外です。
保険が使える歯科医院の探し方
保険の矯正は、どの歯科医院でも受けられるわけではありません。日本矯正歯科学会は、次の手順で探す方法を案内しています。
- 地方厚生局のサイトから、住んでいる地域の厚生(支)局を開く
- サイト内で「施設基準届出受理医療機関名簿」を検索する
- 都道府県別の名簿から、歯科のPDFを開く
- PDFの中で「矯診」(ケース1・2・4)や「顎診」(ケース3)がある歯科医院を探す
自由診療の矯正を始める前に、上の病気などに心当たりがある場合は、受診する歯科医師に「保険の対象になるか」を伝えて相談するよう、学会の資料でも勧められています。
マウスピース矯正の多くが自由診療である理由
マウスピース矯正は、透明な取り外し式の装置を段階的に交換して歯を動かす方法です。保険の対象にならない理由として、公的な資料・公式ページには次のことが書かれています。
- 保険診療に使えない装置:日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針」に、アライナーは「保険診療には使用できません」と書かれています。
- 海外製の装置の扱い:同じ指針では、海外で作るカスタムメイドの矯正装置は、日本の医療機器にも矯正装置にも当たらないとの回答が厚生労働省からあったとされ、使う場合は歯科医師が患者に説明し、同意書を作るよう求めています。
- 救済制度の対象外になる場合:インビザラインを扱う歯科医院の公式ページでは、薬機法(医薬品や医療機器のルールを決めた法律)で承認されていない医療機器を使う治療であることや、医薬品副作用被害救済制度の対象にならない場合があることが説明されています。
「マウスピースでも保険が使える」と考える前に、まずは自分のかみ合わせが保険の条件に当たるかを、届出をしている歯科医院で確認しましょう。自由診療の費用は「マウスピース矯正の費用相場」、税金の負担を減らす制度は「医療費控除」の記事で整理しています。
よくある質問
Q. 子どもの矯正なら保険が使えますか?
A. 年齢だけで保険の対象にはなりません。上の表の条件に当てはまるかどうかで決まります。学校の歯科健診でかみ合わせの異常が疑われた場合の「歯科矯正相談料」は、2024年度の改定で新しく作られています。
Q. 保険の矯正でマウスピースを使うことはできますか?
A. 日本矯正歯科学会の指針では、アライナー型の矯正装置は保険診療には使用できないとされています。保険の矯正でどの装置を使うかは、担当の歯科医師に確認してください。
Q. 自由診療の矯正費用は、医療費控除の対象になりますか?
A. 日本矯正歯科学会のページでは、成長段階の子どもの治療は対象になる場合があり、大人の見た目を目的とした治療は対象外とされています。詳しくは医療費控除の記事をご覧ください。
参考にした情報(確認日:2026年10月27日)
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療を始められる方へ」
- 日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針」
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療について」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」歯科点数表 第13部 歯科矯正 通則(確認日:2026年10月27日)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(確認日:2026年10月27日)
- 東海北陸厚生局「令和8年度診療報酬改定について」(令和8年6月1日施行)(確認日:2026年10月27日)
- 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【歯科】」
- プルチーノ歯科・矯正歯科「インビザライン」(未承認医療機器に関する説明)